ユダヤ教とキリスト教は同じ聖書を持ち、同じ神を信じています。本来なら聖書信仰は一つであるはずですが、現時点では、ユダヤ人の大多数はクリスチャンの救い主を自分たちのメシアと信じることができずにいます。
ユダヤ人がキリスト教と主イエスを拒否する原因の大きなものは、キリスト教徒によるユダヤ人迫害と置換神学です。その歴史はユダヤ人に多大な苦しみと悪影響を与えました。イスラエル再建国後、ユダヤ人たちはイスラム教諸国や過激派集団から憎悪と攻撃を受け続け、世界中で反イスラエルデモ、反ユダヤ暴力が激しくなっています。クリスチャンの中にも、イスラエルを認めない人々がいます。
世の終わりに向かっている現在、神様はイスラエルとキリスト教会に対し、どのようなヴィジョンを持っておられるのでしょうか? キリストのからだの完成のために、私たちクリスチャンは神様のご計画にどのように応答していけば良いのでしょうか?
1.全ての民族を救うための神の計画
イエス様は預言されていた「ユダヤ人の王」、「ダビデの子」として誕生されましたが、当時のユダヤの宗教指導者たちはイエス様を認めず、十字架につけてしまいました。イエス様はイスラエルの救い主として贖いを成し遂げられましたが、宗教指導者たちがメシアを退けたために、イスラエル国は滅ぼされてしまいました。
イスラエルが民族的にイエス・キリストを拒否したことには、神の目的と計画がありました。それは、本来は真の神とも永遠の御国とも無関係であった諸国民に福音を届け、イスラエルの救い主を信じる異邦人を救い、イスラエルと同じ神の国の国民とすることです。
① 異邦人信者増加と教会の変質
使徒たちによって始まった「イエスをキリストと信じる信仰」は、初めは「ユダヤ教ナザレ派」として広まりました。ナザレ派の人々は律法に従い、ユダヤ人として生活していましたが、他のユダヤ教徒たちと違っていたのは、待ち望んでいたメシアはナザレのイエスであり、十字架で贖いを成し遂げられたと主張したことです。
イスラエルの宗教リーダーたちは十字架につまずき、神の救済方法を認めることができませんでした。ユダヤ教指導者たちがイエス様を拒否し、主の弟子たちを激しく迫害したため、信者たちは諸国に離散し、その結果、福音は異邦人世界に伝えられ、その後、パウロの世界宣教によって、主を信じる諸国民は激増していきました。
ところが今度は、多数派になった異邦人信者たちが教会からユダヤ人を排除し、イスラエルの使命と存在意義を否定するようになったのです。
ローマ人への手紙9~11章には、クリスチャンとユダヤ人の関係、イスラエルの救い、神の民を完成させる神のご計画が教えられています。教会によるユダヤ人排除が始まる前に、パウロはその小さな芽を摘むため、ローマ帝国内の異邦人信者たちに手紙を書き、警告しました。そして、すべての民族に対する神の恵みとあわれみの計画について教え、諸国民を救う神の奥義について解き明かしました。
ローマ11:11~12
・・・彼ら(イスラエル民族)がつまずいたのは倒れるためでしょうか。決してそんなことはありません。かえって、彼らの背きによって、救いが異邦人に及び、イスラエルにねたみを起こさせました。彼らの背きが世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らがみな救われることは、どんなにすばらしいものをもたらすことでしょう。
イスラエルがメシアを拒否したため、福音は諸民族に届けられることになりました。イスラエルは一時的に捨てられ、諸国民に神と和解するチャンスが与えられたのです。不信仰のイスラエル民族に代わって、信仰のある異邦人が先に恵みに与りました。
しかしそれ以上に素晴らしいのは、最終的にイスラエルが神に受け入れられる時、死者の復活が起こることです。
ローマ11:15
もし彼らの捨てられることが世界の和解となるなら、彼らが受け入れられることは、死者の中からのいのちでなくて何でしょうか。
神様は、すべての人が悔い改めて真の神に立ち返ることを願っておられます。ですから、全世界の人々に分け隔てなく福音を聞かせ、信じた者たちが復活して神の国に入るチャンスを与えておられるのです。
ローマ11:30~32
あなたがた(異邦人クリスチャン)は、かつては神に不従順でしたが、今は彼ら(イスラエル民族)の不従順のゆえに、あわれみを受けています。それと同じように、彼らも今は、あなたがたの受けたあわれみのゆえに不従順になっていますが、それは、彼ら自身も今あわれみを受けるためです。神は、すべての人を不従順のうちに閉じ込めましたが、それはすべての人をあわれむためだったのです。
イスラエル民族の不信仰と不従順は、諸国民がイエスを信じて創造主の元に取り戻されるためであり、それは神の主権とあわれみによるご計画であると、パウロは説き明かしています。
しかし、ローマ帝国内で異邦人が教会指導者の立場に就くと、彼らはユダヤ文化を排除する数々の教会規則を制定しました。そしてユダヤ人信者たちには、ユダヤ民族の諸習慣(安息日、割礼、食物規定など、神と契約したイスラエル民族が守るべき規則)をやめるよう強要しました。それはイスラエル民族であることをやめさせようとするもので、従わないユダヤ人信者はメシア共同体から追放されてしまいました。そしてユダヤ人がいなくなると、キリスト教は、異邦人のための宗教へと変質して行ったのです。
② イスラエルの不従順は取り除かれる
パウロがローマの異邦人教会に、イスラエル民族と諸国民の救いについての神のご計画を解き明かし、「異邦人はユダヤ人に対して誇ったり思いあがったりしてはいけない(11:18~20)」と忠告したにもかかわらず、その後、ローマ・カトリック教会は、律法を守るユダヤ人信者たちを迫害するようになりました。そのため、イエスを信じるユダヤ人たちは影をひそめてしまいました。
現代のユダヤ教は旧約時代の信仰とは異なり、神の教えを現代の社会と生活にどのように適用するかで、正統派、改革派、世俗派などに分かれています。また、共産主義国から帰還したユダヤ人の中には無神論者がいたり、欧米からの移民には東洋神秘宗教に関わる人々がいたりします。
民族的なアブラハムの子孫であっても、自動的に神の国の民となるわけではありません。ユダヤ人たちは神に対して熱心ですが、その熱心は知識に基づくものではありません。彼らは神の義を知らずに、自らの義を立てようとして、神の義に従っていないのです(10:2~3)。
しかし、神はご自分の民を退けてしまわれたのではなく(11:1)、イスラエルには、今この時にも、恵みの選びによって残された者たちがいます(11:5)。
残された者(レムナント)とは、神に信仰を認められて義とされ、神の国の民として選ばれた者です。たとえ、イスラエルの子らの数が海の砂のようであっても、残りの者だけが救われます(9:27)。イスラエルの民が主の血によって贖われ、霊的子孫として新生するなら「残りの者」となることができます。
ローマ11:25~29
・・・イスラエル人の一部が頑なになったのは異邦人の満ちる時が来るまでであり、こうしてイスラエルはみな救われるのです。・・・彼らは、福音に関して言えば、あなたがたのゆえに、神に敵対している者ですが、選びに関して言えば、父祖たちのゆえに、神に愛されている者です。神の賜物と召命は、取り消されることがないからです。
アブラハムの直系の子孫、契約の民であるイスラエル民族に与えられた神の賜物は、約束の地(永遠の神の国)です。イスラエルに与えられた召命は、祭司の王国として神に仕えることです。
彼らは今のところ、異邦人に救いのチャンスを与えるために神に敵対していますが、異邦人の恵みの時が終わると、今度はイスラエル民族に救いの時が訪れます。イスラエル人はアブラハム契約を結んだ民であり、神が先祖たちへの約束を果たされるからです。神の完全なご計画の中で、イスラエルは人類救済の最後を締めくくることになるのです。
2.異邦人教会ゆえに不信仰を続けるイスラエル
① 猛威を振るった置換神学
AD70年に神殿が破壊され、国が滅ぼされて、イスラエル民族は世界離散しました。
キリスト教は、ユダヤ教と分離した新しい宗教として、異教的教えやギリシャ的思想を取り込みながら、本来の聖書信仰とは異なる混合宗教に変質していきました。
置換神学とは、神がイスラエルとの契約を破棄し、イスラエルの代わりに教会を「選民」として選び、愛し、使命を与えたという教えです。イスラエルはイエスによる救いを拒否した罪のために神に捨てられ、ローマ帝国によって滅ぼされた。神は教会と契約を結び直し、「霊的イスラエル」である異邦人教会が「肉的イスラエル」に取って代わったと解釈するのです。
異邦人教会は、恵みと信仰によってイスラエルの神に繋がり、「アブラハムの子孫」とされ、イスラエル民族と同じ約束を受け取る者となったにもかかわらず、自分たちは、「捨てられた地的イスラエル」に代わる「新しい天的イスラエル」であると考えました。
「メシアを十字架にかけて殺し、福音を拒否したイスラエル民族は、神から捨てられ、呪われている。もはや神の宝の民ではない、祭司の王国としての使命はイスラエルから取り上げられた。聖書に約束された祝福はすべて教会に与えられ、呪いは全てイスラエル民族に下された。ユダヤ人は、神に逆らう者がどうなるか、その見本として世界中を放浪し、苦しめられる。ユダヤ人には人間としての尊厳や人権は与えられず、メシアが来ても救われない。」
キリスト教の教父と言われる人々がそのような説教を繰り返し、ユダヤ人迫害の下地を作っていきました。キリスト教会は、クリスチャンこそ神の選民「霊的イスラエル」であると高ぶりました。そして、「キリスト殺しの罪ゆえに神に呪われ、捨てられ、永遠の滅びに定められたユダヤ人は、悪魔の子孫、人間ではない家畜である」と見下し、財産を没収し、国から追い出しました。
また、ユダヤ教は時代遅れの劣った民族宗教だが、キリスト教は普遍的な世界宗教であると自負しました。そして、ユダヤ人をキリスト教に改宗させるために、あらゆる手段で拷問し始めたのです。当時のキリスト教徒(実際は聖書的クリスチャンとはかけ離れた人々)による迫害は、現代のテロリストによる暴挙に匹敵するほどでした。
魔女狩り、宗教裁判、ポグロムなど、クリスチャンやキリスト教国によってもたらされた迫害・苦難は、ユダヤ人の心に大きな傷を残し、そのため、ユダヤ民族の心はますます固くなり、イエス様に敵対し、新約聖書を拒否することになりました。実に、キリスト教会がイスラエル民族をキリストから引き離したのです。
② キリスト教世界によるユダヤ人排除と迫害の歴史
・4世紀中頃からヨーロッパ諸国(キリスト教国)で反ユダヤ主義が増加しました。「キリスト殺しのユダヤ人」は財産を奪われ、諸国を放浪することがふさわしいとされました。
・312年、コンスタンティヌス1世がキリスト教に改宗し、313年、ミラノ勅令でキリスト教を公認宗教としました。
・392年、テオドシヌス帝がキリスト教をローマ帝国の国教に定め、ユダヤ人は公職から追放されました。国家として最初の反ユダヤ政策でした。
・11~13世紀に、エルサレムをイスラム教徒から取り戻すため、8回にわたって十字軍が派兵されました。彼らはエルサレムに向かう道すがら、ユダヤ人をシナゴーグに閉じ込めて火をつけ、ユダヤ人が焼死するのを見ながら主を讃えました。そのようにイエスの名によってユダヤ人を虐殺し、ユダヤ人集落を焼き払っていったのです。
・14世紀 ペスト流行の責任を負わされてユダヤ人が虐殺されました。
・15世紀 スペインの宗教裁判で、キリスト教への強制改宗を拒んだユダヤ人7000人以上が虐殺され、追放された人々も多くいました。
・16世紀 イタリアにゲットー(ユダヤ人隔離居住区)が建設され、ユダヤ人の強制隔離政策が実施されました。その後ヨーロッパ各地にゲットーが建設されました。
・19世紀 帝政ロシアによるポグロム(ユダヤ人虐殺)が起こり、多くのユダヤ人が難民となりました。
・20世紀 世界最大の反ユダヤ政策、ホロコーストが実行されました。
1933年4月30日 アドルフ・ヒットラーがドイツ首相に就任し、ナチス・ドイツによる独裁政治が始まると、アーリア民族選民思想に基づき、「世界から悪い者を取り除く」ため、ユダヤ人抹殺計画が実行に移されました。キリスト教国のドイツで、ルターのユダヤ人憎悪メッセージを根拠に、「ユダヤ人は不幸の元凶であるから、絶滅させなければならない」として、「ユダヤ人問題の最終的解決」を図ろうとしたのです。
・ユダヤ人ボイコットの2,000以上の法律が策定されました。
・ゲットーに定員の10倍以上のユダヤ人を詰め込み、食物を制限し、餓死させました。

・ドイツ親衛隊とドイツ治安警察により、女性、子供を含む大量虐殺(ジェノサイド)が行われ、バビ・ヤールでは33,000人以上が射殺されました。

・強制収容所(絶滅収容所)に送られたユダヤ人は、家畜のように立ったまま貨車に詰め込まれて移動させられ、到着前に訳半数が死亡したと言われます。

・収容所のユダヤ人は強制労働と飢餓で死に追いやられ、あるいは墓穴を掘らされて銃殺されました。アウシュビッツ収容所では、1日に12,000人がガス室で毒殺されました。


(ホロコーストと反ユダヤ思想については、こちらのサイトをご参照ください)
このようにしてユダヤ人600万人が殺戮され、迫害によるユダヤ人犠牲者は半世紀で1,000万人以上にのぼりました。これらの忌まわしい出来事は、写真・映像、遺物に大量に残されており、悲痛な記憶は、ホロコーストを生き延びた人々の証言を通し、後の世代のユダヤ人にも生々しく語り継がれています。
ユダヤ民族は、ただユダヤ人であるという理由だけで諸国民から憎まれ、迫害され、絶滅を謀られたのです。
キリスト教の置換主義がホロコーストにまでつながり、クリスチャンによるユダヤ人迫害がイエス様に対するユダヤ人の不信感を強める原因となりました。十字架を掲げてのユダヤ人虐殺(十字軍)やキリスト教国での迫害によって、ユダヤ人は、イエス様をイスラエル民族抹殺のための悪魔の使いと信じ、新約聖書をその計画書と理解するようになりました。イエスという名前は、ユダヤ人にとって反感・嫌悪・恐怖となったのです。
クリスチャンによる反ユダヤ主義、ユダヤ人迫害の歴史、置換神学については、「Bridges For Peace(イスラエルと異邦人教会間の平和の架け橋)」の提供する情報もご参照ください。置換神学とは Part1 Part2)
3.キリストのからだの回復:イスラエルとクリスチャンの一致のために
キリスト教・クリスチャン・キリスト教国は、イスラエルのつまずきとなり、救いを妨げて来ました。
しかし、ご自分が造られたすべての人を愛された神様は、すべての民族に救いをもたらすために、あえてイスラエル民族の心を頑なにされ、福音が先に異邦人に広まるようにされたのです。先のもの(イスラエル)が後になり、後のもの(諸国民)が先に恵みを受けたのです。
クリスチャンは旧約律法を重視するユダヤ人に対し、彼らはまだ律法に縛られていて救われていないが、クリスチャンは律法から解放されて自由であり、救われ、彼らより優れていると高ぶりがちです。しかしそのような偏見や敵意は的外れです。
エペソ2:14-16
実に、キリストこそ私たちの平和です。キリストは私たち二つのものを一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し、様々な規定から成る戒めの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、この二つをご自分において新しい一人の人に造り上げて平和を実現し、二つのものを一つのからだとして、十字架によって神と和解させ、敵意を十字架によって滅ぼされました。
① 変わらない神の愛と約束
神がイスラエルと結ばれた契約は取り消されたわけではなく、神の愛は今もイスラエルに注がれ、イスラエルの役割と使命も変わりません。
ローマ11:26~27
こうして、イスラエルはみな救われるのです。「救い出す者がシオンから現れ、ヤコブから不敬虔を除き去る。これこそ、彼らと結ぶわたしの契約、すなわち、わたしが彼らの罪を取り除く時である」と書いてあるとおりです。申命記4:31
あなたの神、主は、あわれみ深い神であるから、あなたを捨てず、あなたを滅ぼさず、あなたの先祖たちに誓った契約を忘れない。
神様はご自分の契約に忠実であり、裏切ったり偽ったりなさる方ではありません。神はアブラハムや先祖たちと結んだ契約ゆえに、イスラエル民族を見捨てることはありません。同様に、神様はキリストの血によって契約を結んだ私たちクリスチャンを、無知や愚かさや罪過のために見捨てることはありません。
もし、ユダヤ人が不信仰・不従順ゆえに神に捨てられるなら、私たちクリスチャンも捨てられてしまうでしょう。「神の愛」を説くキリスト教会は、神の選民イスラエルを憎み、迫害し、殺してきたのですから。
イスラエルの救いは今も進行中、彼らの賜物と召命は今も継続しています。
② イスラエルに残された重大な使命
イスラエル民族は、神の「人類救済計画」で重要な役割を果たす祭司の王国です。神のことばである聖書を書き記し、真の神と神のご計画を世に知らしめてきました。ユダヤ人として生まれたイエス様は、大祭司として全人類の罪のために、ご自分の清い血を捧げ、贖いを成し遂げて下さいました。
イスラエル民族は、神の子羊キリストが現れる時まで、仮庵の祭りで全民族の罪のために動物犠牲を捧げてきました。しかし今の時代、彼らには、神の計画の中でもっと重要な召命があるのです。
それは、神の子羊イエス様が、全人類の罪を身代わりに背負って十字架につけられ(犠牲となり)、苦しみの中で父なる神に人類の赦しを祈られたように、イスラエル民族も、あらゆる民族の罪(反イスラエル暴力、迫害、置換神学など)を背負い、諸国民の赦しのために神にとりなし祈ることです。
ヨブ記の最後に、友人たちにさんざん苦しめられたヨブが、彼らのためにとりなして祈ると、その祈りを聞かれて、神がヨブの友人たちを赦されたという出来事が記されています。
イスラエル民族は、諸民族、特にアブラハムの肉の子孫であるアラブ民族と、霊的親類とも言えるキリスト教徒の罪深さによって、苦しめられ、迫害され、攻撃され、滅亡の危機を通りました。そのような状況にあって、彼らは、人類の最終的な救いの完成のためにとりなす役割を委ねられています。つまりイスラエルは、諸民族の贖いのために犠牲とされる民族なのです。
キリスト教界が福音宣教を担っている間、イスラエルは表舞台から退いていましたが、主の再臨が近づくにつれ、救われるユダヤ人が増加し、本来の使命に立ち返りつつあります。
ひとたび霊的目が開かれると、旧約聖書をよく知っている彼らは、クリスチャンが理解できなかった御言葉を理解し、啓示を悟り、クリスチャンに聖書を説き明かしてくれます。そして、約束されていた救い主を知った彼らは、命がけで福音を宣べ伝え、自分たちの使命を実行し始めているのです。
③ イスラエルとクリスチャンの救いの完成
イスラエル民族が不信仰ゆえに神から捨てられたような苦難の二千年間を通らされたのは、すべての民族に福音を聞くチャンスが与えられるためでした。世界には、ノアの子孫から派生した70の民族があると言われていますが、神はイスラエル民族だけでなく、すべての国民・民族の中からも、心がきよく、神を信じる遜った者を召し出しておられます。
神は怒りをもって滅ぼすはずの器に対し、豊かな寛容をもって耐え忍ばれ、ユダヤ人からも異邦人からも、哀れみの器を召し出しておられるのです(9:22~24)。
ユダヤ人と異邦人で救いの条件が異なるのではありません。自分が罪人であることを認め、イスラエルの神を信じ、イスラエルのメシアを自分の救い主と受け入れるなら、救われます。キリスト・イエスを信じた者はアブラハムの子孫であり、約束による相続人です。キリスト・イエスにあってクリスチャンもイスラエル民族も、同じ国籍の民となるのです(ガラテヤ人への手紙3:28~29)。
やがて異邦人の恵みの時が終わります。すると今度は、不信仰だったイスラエル民族の霊的な覆いが取り除かれ、イエス・キリストを約束された救い主であると信じることができるようになります(もう始まっています)。
すべての民族に福音が宣べ伝えられ、救われるべき人が救われたなら、主が天から現れ、神の民が一斉によみがえります。そして、救われたイスラエルのレムナントも、異邦人クリスチャンも、そろって御国に集められるのです。
クリスチャンと、霊的に回復したイスラエル民族の信仰が一つとなり、神の国の国民、「神のイスラエル」が完成します。エクレシア(イスラエルのレムナントとクリスチャン)は一人の花嫁として完成します。
その時、私たちは「ダビデの子・ユダヤ人の王であるキリスト・イエス」が治める「御国」を相続し、王の統治下で、ともに永遠の神の国を治めることになります (参照:「新しいひとりの人:クリスチャンとイスラエルの救いの完成」)。
4.霊的兄弟として、イスラエルと共に立つ
神のご計画が実現する日まで、霊的家族イスラエルのために祈りましょう。
イスラエルとユダヤ人の救い・癒し・回復を祈る
イスラエル民族は、置換神学、反ユダヤ主義、二千年近い迫害の歴史の中で、深い傷を受けてきました。クリスチャンに対する恐怖が新約聖書とイエス様に対する恐怖となり、キリスト教に対する嫌悪がイエス様に対する嫌悪につながりました。彼らが民族的に癒され、自分たちのメシアを信じ、キリストの贖いを通して神と和解できるように祈りましょう。また、ユダヤ人とクリスチャンの和解と平和のためにも祈りましょう。
イスラエル民族に対する神のご計画の実現を祈る
イスラエルは常に彼らを滅ぼそうとする敵に取り囲まれていて、テロ、迫害、戦争の脅威の中にいます。また、偽情報や誤情報によって、世界中から非難され、憎まれています。ホロコーストは無かった、あるいは、自作自演であるという説も吹聴されています。その背後には、イスラエルとユダヤ人を滅ぼし、「ユダヤ人の王」の帰還を妨げ、人類の救いの完成と神の国の実現を阻止しようと企む悪魔がいます。
人類救済計画の要の民族として選ばれ、メシア再臨の鍵を握るイスラエルが、あらゆる妨害や攻撃から守られ、使命を全うできるよう祈りましょう。

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