終わりの時代には世界に偽りの平和が訪れ、あらゆる宗教が仲良く共存する時代が来ると考えられています。現在のエルサレムはやがてソドムやゴモラのように霊的にも性的にも堕落し、「すべての淫婦と地の憎むべきものとの母、大バビロン(黙示録17:5)」と化してしまいます。
大バビロンはミステリー・バビロンとも言われ、真の神に反抗するあらゆる偽宗教が世界の政治・経済と結びついて人類を支配する、反聖書・反キリスト的な統治システムであると思われます。大淫婦バビロンはイエス様の再臨前に滅ぼされ、永遠の御国の首都であり、主の永遠の住まいである新しいエルサレム(黙示録21:2 花嫁にたとえられている)が天から降り、地に確立されます。
この記事では、バビロンの起源と本質、終末の大バビロンとイスラエルとの関係について学びます。
1.バビロンは人間礼拝と偶像礼拝の発祥地
「バビロン」という名前は、創世記10:8~12に出て来るニムロデが建てた町バベルに由来します。バベルはメソポタミア文明の中心地であるシヌアルの地(現在のイラク)にあり、ノアの時代の大洪水の後に増え広がった人々が移住して来て建てた町です。
大洪水はネフィリムを滅ぼすため
神が大洪水を起こされたのは、堕落していつも悪を図る人類とネフィリムを滅ぼすためでした。
ネフィリムは、神の子(霊的存在)と人の子(ちりで造られたアダムの子孫)との間にできた巨人で、ネフィリム同士の2代目子孫はできないと言われています。ダビデの時代にもゴリアテやラフミという、手足の指が6本ずつある巨人がいましたが、ノアの時代には、ネフィリムの影響力が無視できない程大きかったと思われます。ネフィリムは普通の人間より強く、そのままにしておいたら、神の造られた純粋な人間は殺され、人類が絶えてしまう可能性があったのでしょう。
ネフィリムは、将来のメシア誕生を阻止するために悪魔が作った新種と言えます。何らかの方法で人間のDNAに変更が加えられたのでしょう。人間の遺伝子を操作し、神の創造された「人」という「種」を改変することは大罪です。神は、ご自分の創造の秩序に反する新種を滅ぼし、将来のメシアの家系を守るために大洪水をおこされたのだと考えられます。
神に反逆する人間礼拝の始まり
ネフィリムが滅ぼされた後に悪魔が取った策略は、人間を神として礼拝させることでした。
ニムロデという名前は「私たちは反逆しよう」という意味であると言われています。彼は地上で最初の権力者、力ある猟師(人々を神から引き離して支配した人物)で、バベルからアシュルに進出し、ニネベの町も建てています。ニムロデはクシュの子、ハムの孫、ノアのひ孫で、死後、神として人々に崇められた最初の人物です。
バベルの人々はニムロデの反逆計画に心を合わせ、「天に届く塔を建て、名をあげて、全地に散らされないようにしよう」と企みました(創世記11:2~4)。そして一か所に集まり、もう二度と大洪水によって滅ぼされることがないように、人間の力を結集して高い建築物(ジッグラト)を建てようとしました。
善悪を知る知識の木の実を食べたアダムの子孫は、自分自身の知識、知恵、判断、決定に従って生きています。そして悪魔は、「あなたがたの目が開かれて神のようになる」と誘惑し続けています。バベルの塔建設は、神に反抗して神を排除し、人間が神のようになって人間による世界を作り上げようとする、神への挑戦でした。
偶像神と宗教の乱立
バベルの人々は、言葉が混乱して互いに意思疎通ができなくなったため、塔の建設を断念しました。そして全地に散らばり、同じ言語を話す人々同士が集まって町や国を作りました。
ユダヤの伝承によると、ニムロデはセムによって殺されています。
最初の権力者であったニムロデの伝説は神話となり、言語クループごと、民族ごとに様々な宗教が生まれていったようです。ニムロデは太陽神として礼拝され、バアル、モロク、ベル、オシリス、ジュピター、バッカスなどと呼ばれるようになりました。ニムロデの母セミラミスはあらゆる女神の原型(アシュタロテ、アルテミス、イシス、ダイアナ、イシュタール、ヴィーナスなど)です。父クシュの死後、母セミラミスとニムロデの間に生まれたとされる子供は、タンムズ(ニムロデの生まれ変わり)、ネボなどと呼ばれています。
バベル(バラル=混乱)事件の後、悪魔の取った作戦の本質は、人間に霊的存在を礼拝させ、真の神から引き離すことです。ジッグラトは、人々が神に反抗する堕天使たちとチャネリング(交信)し、真の神ではない偽の神々から天的な知恵をもらうための場所となりました。
ジッグラトで行われていた霊的交信は、偶像礼拝、様々な宗教を生み出し、死者の礼拝や死者との交流、霊媒、占い、現代のニューエイジやスピリチュアル・ブームまで続いています。
バビロンは「神の門」という意味を持つ、偽の神礼拝への入り口です。偶像礼拝の発祥地バビロンは、本質的に聖書の神と真っ向から対立するのです。
2.バビロンはイスラエルを懲らしめるための神の道具
偶像礼拝はイスラエルの存在目的と使命を損なった
イスラエル民族は、偶像礼拝をしている諸国・諸民族に真の神を証しするために、神によって生み出された民族です。彼らは、聖書を通して真の神と人類に対する神の御心を諸民族に教え、イスラエル国のあり方を通して神の国(神の支配)を証しする使命が与えられています。
またイスラエル国家の存在目的は、聖なる祭司の国として神に仕え、救い主を生み出し、福音を伝え、偶像に仕えている諸国民が真の神に立ち返ることができるように取り成すことでした。
ダビデ王とソロモン王の黄金期の後、イスラエル国は分裂し、南ユダ王国と北イスラエル王国は互いに争い、また他国の侵略を受け、弱体化していきました。ソロモン王の妻たちによりすでに偶像神が持ち込まれていましたが、南北王朝とも異教の周辺諸国と関係を結び、イスラエルの神を捨て、繁栄や国防のために異教の神々に頼るようになりました。
王たちも民衆も預言者たちの警告に悔い改めることはなく、ついに北イスラエル王国はアッシリア帝国に滅ぼされ、南ユダ王国はバビロン帝国に捕囚されてしまいました。バビロン捕囚は、偶像礼拝を悔い改めなかったユダ王国の人々が、偶像礼拝の発祥地で奴隷とされ、70年間の苦しみと屈辱の中で悔い改め、真の神に立ち帰るようになるための、神の取り扱いでした。
現代イスラエルとバビロンの罠
捕囚から帰還し、神殿とエルサレムを再建したユダの人々は、その後も異教の大国に支配されます。そしてメシアであるイエス様を国家的に拒否したために、ローマ帝国によって滅ぼされてしまいました。
20世紀になって再建した現代イスラエルは、中東諸国の中で唯一の民主主義国家です。強い軍事力を誇り、非常に優れた科学・医学・農業技術等を持つIT大国で、経済は繁栄し、国際社会の中で認められる存在となりました(反ユダヤ主義やメディアによる歪曲報道はありますが)。
最近は「アブラハム合意」によってイスラム教国(イシュマエル・エサウ・ロトの子孫であるアラブ人の国)との経済関係を強めています。かつてのユダ王国のように、現代イスラエルも国防や経済発展や国際的影響力維持、諸国との関係強化のために奮闘しています。
現代のユダヤ教はモーセやダビデの時代の信仰とは異なり、正統派、超正統派、世俗派、改革派などに分かれています。超正統派のユダヤ教徒たち(パリサイ人や律法学者の子孫にあたる)は熱心にトーラーを学び、祈り、救い主と神の国を待ち望んでいますが、ほとんどはイエス様を拒否したままです。ユダヤ人の中には、ホロコーストを体験して神への信仰を失くした人々、キリスト教やイエスという名に恐れと憎しみを抱く人々、旧ソ連圏から帰還した無神論者、神秘宗教やオカルトに傾倒する人々も見られます。
聖なる民であるべきイスラエルですが、テルアビブでは毎年、数十万人規模のゲイ・プライド・パレードの世界大会が開かれてきました。2021年6月3日のエルサレムでのパレードでは、イスラエル国旗に代わって、ダビデの星を描いた虹色の旗が使われました。イスラエルの新首相自身がLGBT支持者で、パレードに反対する正統派ユダヤ教徒たちが逮捕されています。神の目に、この国はソドム・ゴモラのように映っているのかもしれません。
大艱難時代を通って悔い改める
古代バビロン帝国は、堕落したユダ王国を懲らしめるための神の裁きの道具として用いられ、その後、ペルシャ帝国クロス王によって征服されました。神様は、聖書の神を認めない異教のバビロンによってイスラエルを懲らしめ、そのバビロンを別の異教の国によって滅ぼされました。ユダ王国の人々はバビロン捕囚を通して悔い改めに導かれ、約束されていた通り、70年後にクロス王の勅令で帰還することができました。
一方、バビロンの経済・文化・宗教は、支配国が変わっても繁栄し続けました。
現代のイスラエル国は、人間的知恵と力(軍事力、経済力、技術開発力、国際政治力など)に頼り、不品行に陥り、霊的には神から離れ、救い主イエス様を受け入れていません。イスラエルは終末の大バビロンを経験して自分たちの現状に気づき、救い主を拒否した罪を悔い改めて神に立ち帰り、民族としての使命を取り戻すことになります。
ダニエル9:24
あなたの民とあなたの聖なる都については、70週が定められている。それは、そむきをやめさせ、罪を終わらせ、咎を贖い、永遠の義をもたらし、幻と預言とを確証し、至聖所に油をそそぐためである。
ダニエルに語られた「あなたの民(イスラエル民族)とあなたの聖なる都(エルサレム)に定められた70週」の中で、最後の1週は7年間の大艱難時代を指していると言われています。その目的は、イスラエル民族に神に対する背信を止めさせ、イエス様を信じる信仰によって罪を赦し、咎を贖い、義とし、永遠の神の国を受け継がせ、祭司の国として神の前で仕えさせることです。
イスラエル民族は、イエス様を約束のメシアと信じて真の神に立ち返り、聖なる民族としてのアイデンティティと存在目的を取り戻し、永遠の祭司の王国として使命を果たすようになりますが、その前に、「ヤコブの苦難の時(エレミヤ30:7)」を通らなければなりません。
それは、主の民である私たちクリスチャンにも当てはまります。この世を愛し、世と妥協している生ぬるいクリスチャン、神と神の言葉を侮り、真の聖書信仰から離れてしまった背教のクリスチャンたちを悔い改めさせるために、苦難の時が訪れようとしています。
3.世の終わりの大バビロン
黙示録の17章18章には大バビロンと呼ばれる淫婦(大きな都)の裁きが預言されています。「淫婦バビロン」とは、人々を真の神と聖書の教えから離れさせ、霊的不品行に陥らせ、しかも政治・経済に大きな影響力を持っている都のようです。
宗教の都、大バビロン
大バビロンは、7つの頭と10本の角を持つ緋色の獣に乗り、紫と緋の衣を着ていて、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものや自分の不品行の汚れでいっぱいになった金の杯を手に持って(17:3~4)います。この女の額には「すべての淫婦と地の憎むべき者との母。大バビロン(17:5)」という意味深な名前が書かれています。
この淫婦の服装は宗教的なものを感じさせます。
また大バビロンは「大水(もろもろの民族、群衆、国民、国語)」の上に座り(黙示録17:15)」、「地上の王たちを支配する大きな都(17:18)」です。その都は「地の王たちと不品行を行い、地に住む人々に不品行のぶどう酒を飲ませ(17:2)」、「不品行によって地を汚し(19:2)」ます。
聖書では、偶像礼拝は姦淫にたとえられているので、「不品行」は性的な罪よりむしろ、霊的な不品行である偶像礼拝を指していると思われます。
この女(都)が商人たちから買っていた品々は、「金、銀、宝石、真珠、麻布、紫布、絹、緋布、香木、さまざまの象牙細工、高価な木や銅や鉄や大理石で造ったあらゆる種類の器具、また、肉桂、香料、香、香油、乳香、ぶどう酒、オリーブ油、麦粉、麦、牛、羊、それに馬、車、奴隷、また人のいのち(18:12~13)」とあり、ほとんどが宗教と関係するものです。
また、この都が激しく打ち倒されて、なくなって消え失せてしまう時、「立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを鳴らす者の声」や「花婿・花嫁の声」が聞かれなくなる(18:21~23)とも預言されているので、この都では結婚式や祭りごとが行われているようです。
そして地上の力ある商人たち(11:23)はこの都のおごりによって富を得ています(11:19)。
大きな都バビロンは、偶像礼拝の中心地、一大宗教センターであり、宗教を通して贅沢を極めていると考えられます。
偶像と不品行、悪霊の巣窟
偶像礼拝とは真の神以外のものを礼拝することです。様々な神々を考え出して像を拝むことだけでなく、人を神のように崇めることも、神の御言葉よりも人間の知恵や哲学や科学を上に置くことも偶像礼拝と言えます。人は「いのちの木」からではなく「善悪を知る知識の木」から実を取って食べたために、真の神から離れ、あらゆるものを偶像にして崇拝するようになりました。
パウロはⅠコリント10:20で、偶像礼拝は悪霊と交わることであると教えています。
またコロサイ3:5では、不品行、汚れ、情欲、悪い欲、むさぼりのために神の怒りが下るから、それらを取り除くようにと命じ、むさぼりがそのまま偶像礼拝であると語っています。
そしてガラテヤ5:19~21では、不品行、汚れ、好色、偶像礼拝、魔術‥‥は肉の行いであり、こんなことをしている者は神の国を相続することができないと教えています。
世界の三分の二以上の人々は聖書の神を信じておらず、「この世の神」の支配下にいます。気づいていなくても偽の神に影響され、動かされています。聖書を知る民であっても、聖書の神を自分の願うような神にすり替え、聖書の御言葉を自分の好むように読み替え、自分の肉に仕える人々もいるでしょう。
この都は、世界の人々に偽宗教と偽の神々に仕えることを奨励し、真の神を信じる民を背教に引き込もうとします。その影響力は全世界に及びます。
偶像礼拝の本質は悪霊との交わりで、性的不品行やむさぼりにつながっていきます。
この大きな都は、「全ての国々の民を魔術によってだまし(18:23)」、「悪霊の住まい、あらゆる汚れた霊どもの巣窟、あらゆる憎むべき鳥どもの巣窟(18:2)」となってしまいます。そして、この都は聖徒たち(イスラエル民族)の血とイエスの証人たち(クリスチャン)の血に酔って(17:6)いるのです。
バビロンの魔術に騙される
魔術とは、霊の力を用いて、自然的秩序に反する物理的結果をもたらそうとする(あり得ないことを引き起こそうとする)ことです。呪文や呪術によって必ず望む通りの結果を得ようとし、人々を縛り、神をも縛ろうとします。魔術の目的は神の上に立つことなので、偶像礼拝と同じ罪です。聖書は魔術を禁じています。
邪悪なバビロンは、神に成り代わろうとして人々を魔術でだまし、縛り、支配します。
艱難時代に全世界の人々をだます大バビロンの魔術とはいったい何でしょうか? 信じる神々は異なっていても、世界の国々・人々が同じ考えに洗脳され、同じ思想を持ち、一つの主義に染まり、画一化された生活様式に従い、操られるようになるのでしょうか?
「魔術」と訳されているファルマケイアいうギリシャ語は現代の「薬学」にあたる意味を持ち、英語のpharmacyの語源となっています。
魔術と医術が未分化な時代の治療薬や治療方法は、薬草とまじないを組み合わせたものや、呪文を唱えて悪霊を追い出そうとするものでした。
長血の女が多くの医者にかかり財産を使い果たしたが、治してもらえなかったのは、そのような治療のためかもしれません。ユダのアサ王が重い病にかかった時、主を求めずに医者を求めたと書かれているのは、呪術によって霊的存在に癒しを求めたことを表しているのかもしれません。
「健康」は現代の人々にとっても最大の関心事です。「魔術」は健康や医療に関することかもしれません。
あるいは終末時代の魔術とは、人の目に不思議な、通常では起こらないような現象や技術で人々を驚かせ、虜にし、操ろうとするのでしょうか? たとえば、高度に発達したコンピューター・ネットワークとAIと5G・6Gがもたらす技術革新。便利で、望むことは何でも実現してくれて、人々を夢中にさせ、思考能力を奪い、神のように人々と生活を支配するのでしょうか?
黙示録9章で第6のラッパが吹き鳴らされ、ユーフラテス川のほとりにつながれている4人の御使いが解き放たれます。すると、二億の騎兵が出軍し、馬の口から出ている火と煙と硫黄によって人類の三分の一が殺されます。
黙示9:20~21
これらの災害によって殺されずに残った人々は、その手のわざを悔い改めないで、悪霊どもや、金、銀、銅、石、木で造られた、見ることも聞くことも歩くこともできない偶像を拝み続け、その殺人や、魔術や、不品行や、盗みを悔い改めなかった。
大バビロンが世界の指導者たちと諸国民を操り、創造主に背かせるので、人々は悔い改めることができません。ニムロデの時代から最後の大バビロンに至るまで、悪魔は人々を惑わして真の神に逆らわせ、滅びに至らせようとするのです。
ソドム・エジプトと化したエルサレム
黙示録11章によると、エルサレムの神殿の丘にユダヤ教の神殿が建っていますが、聖所の外庭は異邦人に与えられ、聖なる都は42か月間、異邦人に踏みにじられます。
その間、主に遣わされた2人の証人が荒布を着て、聖なる都で1260日の間、預言します(11:3)。彼らはノアのように、不品行を行う人々や偽の神々礼拝をする人々に悔い改めを語る預言者です。間もなく世の終わりが来て、悪人たちとこの世界が裁かれること、神の子が再臨され、義とされた人々は御国を相続することを告げ、十字架で死なれた御子イエス様を信じ、創造主に立ち返るように迫るのでしょう。
彼らに害を加えようとする者があれば、彼らの口から火が出て敵を滅ぼしつくします。彼らが預言している期間は雨が降らず、彼らは水を血に変え、あらゆる災害を持って地を打ちます。そしてあかしを終えると、彼らは底知れぬ所から上って来た獣に殺されます(11:5~7)。
2人の遺体は3日間、大きな都の大通りに晒されます。それは、霊的な理解ではソドムやエジプトと呼ばれ、主が十字架につけられた都(11:8)です。つまり、この都とはエルサレムなのです。
ソドムは不品行の町で、そのために天から降って来た火と硫黄によって滅ぼされました。
エジプトは魔術の国です。魔法の護符、魔法の絵と呪文、魔法の儀式、星占い、夢の解読など、生活全般が魔術と深くかかわっていました。エジプトの祭司は呪術や悪魔祓いで医療にあたり、神の名を唱えることでその神を自由に縛ることができると信じられていました。
艱難時代のイスラエルは、不品行だけでなく魔術においても世界の最先端を進み、偶像礼拝と不品行と魔術の世界センター、反逆者たちの本拠地となってしまうのです。
創造主に反逆する究極の大バビロン
黙示録17章には、大バビロンは聖徒たちとイエスの証人たちの血に酔っている(17:6)と書かれています。また18章には、預言者や聖徒たちの血、および地上で殺されたすべての人々の血がこの都の中に見いだされた(18:24)とあります。
この都は主に仕える預言者、ユダヤ人、クリスチャンを殺し、2人の証人の血もこの都で流されました。つまり、大きな都バビロンとはエルサレムのことなのです。
反キリスト宗教の統合組織が政治・経済と一体となって世界を支配する都・大バビロン。
神への反逆を極める究極の大バビロン。その中心は実に神殿の丘なのです。
エルサレムは神の特別な目的のために選ばれていた聖なる神の都であるにもかかわらず、偶像礼拝と不品行と魔術の中心地となります。神殿所在地が宗教ビジネスによって贅沢を極め、神の禁じた魔術によって全世界を支配しています。そして、天地の創造主である唯一真の神を礼拝する聖徒たちを憎み、聖書の神に忠実な真の信仰者たちを迫害し、殺害します。
世の終わりに背教が窮まり、聖書の真理が投げ捨てられるなら、神の栄光を表すべきエルサレムが悪霊の巣窟、悪魔に仕える大バビロンとなるのです。ですからイエス様は、「人の子が来る時、果たして地上に信仰が見られるでしょうか」と嘆かれたのです。
バビロンからの脱出命令
エルサレムに住む聖徒たちに、天からの声が命じます。
黙示録18:4~8
「わが民よ。この女から離れなさい。その罪にあずからないため、また、その災害を受けないためです。なぜなら、彼女の罪は積み重なって天にまで届き、神は彼女の不正を覚えておられるからです。・・・彼女が自分を誇り、好色にふけったと同じだけの苦しみと悲しみとを、彼女に与えなさい。彼女は心の中で『私は女王の座に着いている者であり、やもめではないから、悲しみを知らない』と言うからです。それゆえ一日のうちに、さまざまの災害、すなわち死病、悲しみ、飢えが彼女を襲い、彼女は火で焼き尽くされます。」
大バビロンの罪は甚だしく、神の忍耐の限度を超えました。主の激しい怒りがエルサレムに注がれます。ノアの時代の大洪水の時のように、ロトがソドムを逃げ出した日のように、主がこの都を一日で滅ぼされます。エルサレムは死病、悲しみ、飢えに襲われ、火で焼き滅ぼされるのです。
預言者エレミヤは、イスラエルの民にバビロンから逃げるように預言しました。
エレミヤ50:8~9
バビロンの中から逃げ、カルデヤ人の国から出よ。・・・見よ。わたしが、大国の集団を奮い立たせて、北の地からバビロンに攻め上らせる。彼らはこれに向かって陣ぞなえをし、これを攻め取る。
「カルデヤ人(びと)」と訳される「カスディーム」というヘブル語は「バビロ二ア人」を指しますが、その本当の意味は「呪法師」です。エレミヤは、魔術の国から逃げるように呼び掛けています。なぜなら、主がこの都を攻撃させるからと。
エレミヤ51:6~7
バビロンの中から逃げ、それぞれ自分のいのちを救え。バビロンの咎のために断ち滅ぼされるな。これこそ、主の復讐の時、報いを主が返される。バビロンは主の御手にある金の杯。すべての国々はこれに酔い、国々はそのぶどう酒を飲んで、酔いしれた。
この預言は終末預言であると思われます。エレミヤの時代にバビロン捕囚されたユダヤ人たちは、70年後にペルシャ帝国のクロス王によって帰還が許されるまで、捕囚の地に住むことが主の御心でした。ですから、バビロンから逃げよという命令は当時の人々のためではなく、最後の時代の人々に向けられています。
主の民は、偶像礼拝と不品行と魔術のはびこるバビロンから脱出しなければなりません。
次回は、大バビロン(地上のエルサレム)の滅び、エルサレムに対する主の贖い計画、主の花嫁・新しいエルサレムについて学びます。
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