「買い戻し」をキーワードにルツ記を読む
ルツは、信仰によってイスラエルの神に結びつき、律法に定められた再婚制度に自分を委ね、救い主の系図に加えられたモアブ人女性です。ルツと亡夫の親類ボアズとの間に生まれた長男がオベデ、その子からエッサイ(孫)が生まれ、ひ孫としてダビデが生まれました。ルツは神に喜ばれる生き方を通して祝福を受けただけでなく、神の人類救済計画の一部を担うという特権に与りました。
この物語を理解する上でカギとなるのは「買い戻し」という制度です。ルツ記では、買い戻しに関連する言葉が合計23回使われています。 買い戻しは他の多くの聖書箇所で「贖い」と訳されています。
ガーアル(買い戻す/贖う)
ゲウッラー(買い戻し/贖い)
ゴーエール(買い戻しの権利のある親類/贖い主)
この物語は、「ボアズがルツとエリメレクの土地を買い戻す」という出来事を通して、「キリストが人類と世界を贖う」という神の救済計画を啓示しています。ボアズは救い主の型、ルツはキリストの花嫁の型です。そして土地を買い戻すことは、全世界を贖うことを暗示しています。
それでは、ルツ記から「買い戻し」と「神の贖い」について学んでいきましょう。
1.イスラエルの神とイスラエルの律法に従って生きることを選んだルツ
1章には買い戻しという言葉は出て来ませんが、ナオミはこの制度を前提に嫁たちを説得しようとします。
① 再婚についてのイスラエルの定め
エリメレクの妻ナオミ、マフロンの妻ルツ、キルヨンの妻オルパ。3人の未亡人がモアブの野からユダの地に帰ろうとしています。ナオミはモアブ人の2人の嫁に、モアブの親族の所に戻り、そこで再婚して幸せに暮らすように説得します。それは、イスラエルの結婚制度に従うなら、ルツとオルパはおそらく再婚できないと考えたからです。
ルツ記1:11~13
ナオミは言った。「帰りなさい、娘たち。なぜ私と一緒に行こうとするのですか。私のお腹にまだ息子たちがいて、あなたたちの夫になるとでもいうのですか。帰りなさい、娘たちよ。さあ行きなさい。私は年をとって、もう夫は持てません。たとえ私が自分に望みがあると思い、今晩にでも夫を持って、息子たちを産んだとしても、だからといって、あなたたちは息子たちが大きくなるまで待つというのですか。だからといって、夫を持たないままでいるというのですか。」
イスラエルには律法に基づくレビレート婚という特別な再婚制度があります。ナオミは、「私はもうあなたたちの夫となる息子を産むことはできない。もし産んだとしても、あなたたちはその子が大きくなるまで、再婚しないわけにはいかない」と理由を説明します。
② 兄弟の土地と兄弟の妻を買い戻す
レビレート婚という言葉は聖書には出て来ませんが、これは申命記に基づいて定められた再婚制度です。
申命記25:5~6
兄弟が一緒に住んでいて、そのうちの一人が死に、彼に息子がいない場合、死んだ者の妻は家族以外のほかの男に嫁いではならない。その夫の兄弟がその女のところに入り、これを妻とし、夫の兄弟としての義務を果たさなければならない。そして彼女が産む最初の男子が、死んだ兄弟の名を継ぎ、その名がイスラエルから消し去られないようにしなければならない
レビレート婚の目的は、夫を亡くした女性の生活を助けると同時に、亡くなった人の所有地が他人に売り渡されないように守り、その土地の所有者だった人の名前を残すことです。そのため、亡くなった男性の兄弟は、未亡人(義理の姉妹)を自分の妻として養い、最初の息子を兄弟の子とし、亡くなった人の所有地を相続させます。もしその土地が売られていたら自分が買い戻します。その役割を果たす人が「買い戻しの権利のある親類」です。レビレート婚と買戻しは、権利というよりは義務です。
ナオミとルツとオルパの立場を、このルールに当てはめてみましょう。

エリメレク一家
・ナオミ・・・夫エリメレクと二人の息子が亡くなった。夫の兄弟と再婚して息子を産み、その子を3男とし、土地を継がせ、エリメレクの名がイスラエルから消されないようにしなければならない。けれどもナオミは年齢的に、息子を産むことはできない。
・ルツ・・・夫マフロンが無くなった。夫の兄弟と再婚して子を産み、長男として財産を継がせなければならない。けれどもマフロンの弟キルヨンも亡くなり、他に兄弟はいない。もしナオミに3男が生まれても、結婚年齢に達するまで何年も待たなければならない。
・オルパ・・・夫キルヨンが亡くなり、夫の兄弟マフロンもいない。ルツ同様、再婚は難しい。
モアブ人のルツとオルパにとって、イスラエル社会で再婚することも、一人で生活することも非常に難しいでしょう。
③ イスラエルの神に仕えることを選んだルツ
ルツ記1:16~17
ルツは言った。「お母様を捨てて、別れて帰るように、仕向けないでください。お母様が行かれるところに私も行き、住まれるところに私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。あなたが死なれるところで私も死に、そこに葬られます。もし、死によってでも、私があなたから離れるようなことがあったら、主が幾重にも私を罰してくださるように。」
ルツはイスラエルでの弱い立場・不利な生活を承知の上で、そのような規則を定めたイスラエルの神に不満を向けることなく、この神を自分の神として信じ、従うと表明しました。モアブ人の親戚がいない社会で、義母がいなくなった後でも、イスラエルの神に頼って生きようという強い決意があったようです。
ルツはユダヤ人との結婚生活を通してイスラエルの神について知り、エリメレク一家と共に安息日を守り、イスラエルの神に確かな信仰を持つようになったのでしょう。ナオミの人格や優しさだけでは、イスラエル移住を決意できなかったはずです。
2.買い戻しの権利を持つ親類
① ボアズの畑で落穂ひろいをするルツ
ルツは生活の糧を得るために落穂拾いに出かけます。その畑は、はからずもエリメレクの一族に属する有力な親類、ボアズの畑でした。
ボアズは、モアブの若い未亡人ルツが、自分の生まれ故郷を離れ、知らない民族のところに来て、イスラエル人の姑、エリメレクの妻ナオミに誠実に仕えていることを聞きます。そして実際に忠実に働く姿を見て、ルツに目を留め、声をかけ、親切にします。
ルツ記2:12 「主があなたのしたことに報いて下さるように。あなたがその翼の下に身を避けようとして来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように」
ボアズが在留異国人で未亡人のルツに良くしてくれたという話を聞き、ナオミに希望が見えて来ました。
(ボアズは買い戻しの権利のある親類の一人。そしてルツに好意的に接してくれた。主はボアズを通してエリメレク一家に恵みを施してくださるのかしら? 生きているナオミとルツ、そして死んだエリメレクにも。偶像神を離れ、イスラエルの神を信じてその庇護を求める異邦人に、イスラエルの神は豊かに報いて下さるに違いない。)
ルツ記2:20
「生きている者にも、死んだ者にも、御恵みを惜しまない主が、その方を祝福されますように。」
この時ナオミは、主がボアズに働きかけ、エリメレクの土地とマフロンの妻であったルツを買い戻してくださると確信したのかもしれません。ルツはそんなナオミの思いは知らず、大麦の刈り入れから小麦の刈り入れが終わるまで、ボアズの畑で熱心に落ち穂拾いをして姑を支えました。
② ボアズに買戻しを求めるルツ
小麦の刈り入れが終わりました。ナオミはルツが再婚して幸せになることを願い、ボアズに買い戻しを求めることをルツに勧めます。
ルツ記3:1~4
姑のナオミは彼女に言った。「娘よ。あなたが幸せになるために、身の落ち着き所を私が探してあげなければなりません。あなたが一緒にいた若い女たちの主人ボアズは、私たちの親戚ではありませんか。ちょうど今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けようとしています。あなたはからだを洗って油を塗り、晴れ着をまとって打ち場に下って行きなさい。けれども、あの方が食べたり飲んだりし終わるまでは、気づかれないようにしなさい。あの方が寝るとき、その場所を見届け、後で入って行ってその足もとをまくり、そこで寝なさい。あの方はあなたがすべきことを教えてくれるでしょう。」
イスラエルの男性は、すそに房のついた上着を着ています。房は律法を表します。ユダヤ人は足元で揺れる房を見るたびに、神の権威に服し、神の教えに従う決意を新たにします。房の付いた上着を着る人は、自分が神の権威の下にいること、それゆえ自分自身にも権威があることを示しています。ボアズはその上着を掛けて寝ていました。
ルツはナオミの指示に素直に従い、ボアズの足もとをめくり、房の下で寝ました。夜中に驚いて目を覚ましたボアズに、ルツが言います。
ルツ記3:9
・・・・「私はあなたのはしためルツです。あなたの覆いを、あなたのはしための上に広げてください。あなたは買い戻しの権利のある親類です。」
ルツは律法に基づいて大胆に買い戻しを求めました。「覆い」は房の付いた上着のことで、ルツは「あなたの権威の下に入らせてください(=妻にしてください)」と、結婚による保護を求めました。「覆いを上に広げる」は「翼で覆う」という意味にもなります。
イスラエルの神の翼の下に身を寄せた(2:12)ルツに、神はボアズという翼が備えておられました。
③ 律法に従う人格者ボアズ
ルツ記3:10
ボアズは言った。「娘さん、主があなたを祝福されるように。あなたが示した、今回の誠実さは、先の誠実さにまさっています。あなたは、貧しい者でも富んだ者でも、若い男の後は追いかけませんでした。
今回の誠実さ(別訳では真実/真心)とは、律法に従ってボアズに買い戻しを求めたこと、先の誠実さとは、ルツはモアブ人で、夫が亡くなり、子供がいないにもかかわらず、イスラエルに来てユダヤ人の姑に仕えていることです。
ルツはモアブで再婚して幸せに暮らすより、イスラエルで神と姑に仕えることを選びました。ベツレヘムでも若い男性に心奪われることなく、落ち穂拾いをして姑を支え、つつましく生活しました。さらに立派なことは、律法に従って親類に自分の買い戻しを求めたことです。
本来、エリメレクの妻ナオミがボアズと再婚し、エリメレクのために息子をもうけなければなりませんが、ナオミが高齢であることから、長男マフロンの妻ルツが、代わりにレビレート婚に応じるのです。ボアズは裕福で人望と権威のある人格者だったと思われますが、ルツとの間には親子ほどの年齢差があったでしょう。
ルツは自分の幸せを求める以上に、ナオミと親族の権利を守り、祝福するために、自分を捧げました。ルツの心には、ナオミに対する誠実さとともに、神のみことばに従う誠実さ、律法を定めた神ご自身に仕える誠実さがありました。
ルツは控えめで遜り、働き者でしっかりした女性でしたが、ボアズはこの若い女性の大胆な求婚に対して情動的には応答しませんでした。ボアズもまた、神の前に聖さと誠実さを優先したのです。そして、もし自分よりも権利のある者が買戻しを望まないなら、自分が親類の役目を果たし、あなたの願うようにしようと律法に則って約束しました。
3.買い戻しとレビレート婚の成立
① 買い戻しの権利者を決める
ボアズは翌朝、町の門のところで、自分より上位の権利を持つ親類と10人の長老を集めて会合を開きました。町の門は、取引をしたり、民事上・宗教上の事件などの審判を行ったり、法を執行する場所でもあります。10人の長老は裁定に立ち会い、証人となります。
ボアズはその親類に、ナオミはエリメレクの畑を売ることにしているので、買ってくれるように言います。この人は、自分が買い戻すと表明しました。
ルツ記4:5
ボアズは言った。「あなたがナオミの手からその畑を買い受けるときには、死んだ人の名を相続地に存続させるために、死んだ人の妻であったモアブの女ルツも引き受けなければなりません。」
彼はルツも、と言われて断りました。モアブ人を妻にしたくなかったのでしょう。あるいは、ルツが男の子を生めば、その子がエリメレクの息子として土地を相続することになり、買った土地は自分の手元に残らず、益がないと考えたのかもしれません。
申命記25:7~10には、買い戻しの義務を拒む親類にどのように対処するかが定められています。亡くなった兄弟の妻と土地の買戻しを拒否して、兄弟の名を残そうとしない人は、長老たちの前で履物を脱がされ、顔に唾をかけられ、非難されます。それはイスラエルではとても不名誉なこと、恥辱となります。
けれども、最も近い親類は「わたしに替わって、あなたが買い戻してくだい」と言い、自分から履物を脱いでボアズに渡し、買い戻しの権利を譲渡(義務を放棄)しました。
② ボアズが土地とルツを買い戻す
ルツ記4:9~10
ボアズは、長老たちとすべての民に言った。「あなたがたは、今日、私がナオミの手から、エリメレクのものすべて、キルヨンとマフロンのものすべてを買い取ったことの証人です。また、死んだ人の名を相続地に存続させるために、私は、マフロンの妻であったモアブの女ルツも買って、私の妻としました。死んだ人の名を、その身内の者たちの間から、またその町の門から絶えさせないためです。今日、あなたがたはその証人です。」ルツ記4:11~12
門にいたすべての民と長老たちは言った。「私たちは証人です。どうか、主が、あなたの家に嫁ぐ人を、イスラエルの家を建てたラケルとレアの二人のようにされますように。また、あなたがエフラテで力ある働きをし、ベツレヘムで名を打ち立てますように。どうか、主がこの娘を通してあなたに授ける子孫によって、タマルがユダに産んだペレツの家のように、あなたの家がなりますように。」
ボアズが長老たちの前で宣言して買い戻しが成立し、長老たちは証人として祝福しました。
・ルツについては、ラケルとレアの二人のように子孫を生み、ボアズの家を建てるものとなるように。
・ボアズについては、エフラテで力ある働きをし、ベツレヘムで名を打ち立てるように。ボアズの名前は救い主の系図に載る人物として、世界中に知れ渡っています。
・ボアズの家については、タマルがユダに生んだペレツの家のようになるように。
③ 買い戻しを求めたもう一人の女性
マタイ1:3に、「ユダがタマルによってペレツとゼラフを生み」と書かれ、タマルは救い主の系図に載せられています。ボアズとベツレヘムの住民はペレツの子孫だったかもしれません。
タマルは義父ユダを騙して子供をもうけたので、不品行な女性のように思われていますが、マタイは、タマルを律法に従って行動した女性として紹介し、その信仰によってメシアの家系に加えられたことを証ししています。
タマルは夫エル(ユダの長男)の死後、レビレート婚に従って夫の弟オナンと再婚しますが、オナンはタマルの産む息子が兄の子になり、兄の財産を相続することに不満を抱き、子孫を残そうとしなかったので、神を怒らせて打たれてしまいます。ユダは3男シェラをタマルと結婚させず、彼女を実家に帰してしまいます。
タマルは自分が買い戻してもらえないことを悟り、遊女を装ってユダと関係を持ちます。タマルは二人の夫の近親者(買い戻しの権利のある親類は義父のユダ!)によって双子を産みました。事実を知ったユダは、「あの女は私より正しい」と告白しています。神様はタマルの律法に基ずく行動を認め、亡くなった二人の夫エルとオナンのために、二人の息子(ペレツとゼラフ)を賜り、そしてペレツの子孫としてボアズが生まれたのです。
ルツもタマルも、神の律法に則って行動し、神に祝福された女性たちです。
4.神の買い戻し(贖い)計画の進展
① 御子を遣わすために用いられた信仰の系図
ルツはボアズの妻となり、男の子を生みました。その子は法的にはエリメレクとナオミの3男となり、エリメレクの土地を受け継ぎ、子孫に継承します。エリメレクの名はイスラエルから絶やされず、一族の所有地は確保されます。
ルツはイスラエルの神と律法に従順し、ナオミに代わってエリメレクの家を継ぐ子を生み、土地を相続させ、家系を断絶から救うことになりました。

結ばれたボアズとルツ
近所の女たちは、ルツを通してエリメレクの家が守られたことで主をほめたたえ、ナオミを祝福しました。そして「ナオミに男の子が生まれた」と言い、その子をオベデ(仕える者)と呼びました。
オベデは血縁的にはボアズとルツの子です。ルツ記4:18~22には、ペレツからダビデに至る系図が記され、Ⅰ歴代誌2:11には、ユダからダビデに至る系図が記されています。

オベデは、メシアに繋がる人物として、アブラハムからイエスに至る系図(マタイ:5~6)にも、イエスからアダムにさかのぼる系図(ルカ3:32)にも載っています。
マタイ1:5~6
サルマがラハブによってボアズを生み、ボアズがルツによってオベデを生み、オベデがエッサイを生み、エッサイがダビデ王を生んだ。
ダビデ王の曽祖父ボアズと曾祖母ルツは、「人類と世界を買い戻す(贖う)救い主」の先祖となりました。
② 土地を買い戻すことの重要性
イスラエル人にとって、死後も土地の所有者として自分の名前が残ることはとても重要です。それは復活と永遠のいのちを信じているからです。
神様はアブラハムに、「あなたの子孫を増やし、カナンの地をあなたとあなたの子孫に永遠に与える」と約束されました。永遠に土地を受け取ることは、死から復活し、永遠に生きるという前提の上に成り立つ約束です。
そのためには、死後も所有者として自分の名前を残す必要があります。そこで、イスラエルではレビレート婚と買い戻しという制度によって、自分の土地を子孫に受け継がせます。将来救い主が来て、自分が死からよみがえった時、もし、子孫が途絶えたために自分の土地が他人のものになっていたら・・・・それは大問題です。
レビ記25:23
土地は、買い戻しの権利を放棄して売ってはならない。土地はわたしのものである。あなたがたは、わたしのもとに在住している寄留者だからである。
イスラエル人は生活のためにカナンの地を売っても、その土地を買い戻さなければなりません。本人と家族が買い戻せなければ、買い戻しの権利のある親類が買い戻し、その土地を元の所有者とその家族に返すのです。
イスラエル民族への約束を実現するために神が定められた規定、それが買い戻しとレビレート婚です。
世の終わりに復活して自分の相続地を受け取ることは、永遠のいのちを得て永遠の神の国を相続することを象徴しています。イスラエル民族が国土とエルサレムを守るために戦うのは、永遠の御国と永遠のエルサレムを勝ち取るという目標があるからです。現在の戦いは永遠の勝利につながり、苦難の中で与えられた人生を精一杯生きることは、永遠を豊かに生きるための訓練なのです。
③ 買戻しが予表していたこと
買い戻しの権利のある親類が兄弟の土地と妻を買い戻すことは、救い主が世界と人類を贖うことを予表しています。
初めのアダムの罪のために、全ての人は死んで滅びなければなりません。そして世界も人類の罪のために滅びつつあります。罪のために売られてしまった人類と、滅びに向かう被造物の世界を贖うために、神の御子イエス様がダビデ王の子孫として生まれ、贖い主としてご自分のいのちを捧げて下さいました。
それは、人類を死と滅びから買い戻し(贖い出し)、本来の身分を取り戻させ、永遠のいのちを与えて神と共に住まわせ、祝福し、神の民としての栄光と地位と使命を取り戻させるためです(参照「こんなに素晴らしい救い」)。
また、人の罪のために滅びつつある世界(天地、自然界、生き物、全被造物)を買い戻し、新しい世界(新天・新地)をもたらすためです(世界の贖いについてはこちらを参照)。
ボアズが畑とルツを買い戻したように、万物の創造者・所有者である神ご自身が、血の代価を払って、土地(全世界)と妻(キリストの花嫁)を買い戻してくださるのです。
やがて主が再臨され、現在の天地は新しい天地に変えられます。
創世の当初、神はエデンの園に来られ、人との交わりを喜ばれました。贖われた世界では、神と贖われた民が、天から降って来る新しいエルサレムに永遠に共に住むことができます。
第2のアダムであるキリストは、罪のために売られてしまった初めのアダムの子孫たちを贖って妻とし、永遠の御国を相続させてくださるのです。
5.ルツのように神の計画に加えられる
ルツの生き方から私たちクリスチャンの生き方を学びましょう。
① イスラエルの民と同じ神の国の民
ルツ記1:16
「あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です」
ルツは主の集会に加わることを禁止されていたモアブ人(申命記23:3~5)でしたが、ユダヤ人の家族に加えられ、異教の神々を離れ、イスラエルの神に従うようになりました。夫の死後は生まれ故郷とモアブ人社会から離れ、姑と一緒にイスラエルに行き、イスラエルの神に頼って生きることを決意しました。
イスラエルの神の翼の下に避け所を求め、律法とイスラエル社会の慣習を守って生活し、神と聖書信仰に堅くとどまった結果、権力者であったユダヤ人男性と再婚し、子供を授かり、幸せな生活を送ったばかりか、メシアの家系に加えられることになりました。ルツはイスラエルの民を自分の民としてイスラエル人家族を祝福し、イスラエルの神を自分の神として契約に加えられ、自分も祝福されたのです(教会とイスラエルの関係についてのルツ記からの学びはこちら)。
異邦人クリスチャンは、イスラエルのメシアを信じる信仰によって、アブラハムの子孫、契約の民となり、イスラエル信仰共同体・神の家族に加えられました。イスラエル民族と同じ聖書を信じ、同じ国の民とされ、イスラエルに与えられた約束につながり、同じ相続地(神の国)を共に受け継ぐ者とされたのです。
私たち教会の一つの使命は、ユダヤ人がイエス様を信じることができるように助け、支援し、祈ることです。彼らは自分たちの贖い主を受け入れず、そのために国が滅びて世界に離散し、嫌われ、迫害され、今も攻撃されています。彼らが、十字架で贖いを成し遂げて下さったイエス様を信じ、本来の使命を取り戻すことができるように祈りましょう。そしてルツのようにイスラエルと共に立ち、彼らを祝福しましょう。
② 世の終わりまで収穫のために忠実に仕える
ルツは自分とナオミの生活を支えるために、大麦の刈り入れから小麦の刈り入れが終わるまで、ボアズの下で熱心に落穂を拾い集めました。その働きを通して、収穫が完了するまでボアズに仕えました。

落ち穂を拾うルツ

収穫するボアズ
教会は、神の国の民を収穫するために、贖い主とともに熱心に働く者たちの集まりです。教会の働きが始まったのは、7週の祭り(小麦の収穫感謝祭/五旬節/ペンテコステ)の日に、主の弟子たちに聖霊が下った時からです。
イエス様は初穂の祭りの日(大麦の初穂を奉納する日)に、人類の初穂として死から復活されました。大麦はイエス様の象徴です。弟子たちは、初穂の祭りの50日後、小麦の収穫が終わって感謝を捧げる日に、神の国を受け継ぐしるしとして聖霊を受け、福音伝道を開始しました。小麦は人を象徴しています。
福音の種蒔きはイスラエルから始まり、異邦人の国々に拡大し、世界中で多くの信仰者が生まれ、今は最後の刈り入れを待つばかりです。
世の終わりに主が再臨されると、小麦の収穫が完了し、人類の復活が起こります。天から来られた人の子が鎌を入れて麦を刈り取り(黙示録14:14~16)、御使いたちが良い麦(神の国の民)を倉に収める(マタイ13: 30)のです(終末の収穫について、たとえ話の解説はこちら)。
クリスチャンがイスラエル民族より有利なことは、贖い主をすでに知っているということです。イスラエル民族はイエス様を認めず、福音を伝えていませんが、教会は世の終わりまで御国の福音を全世界に伝えることができます。

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